- 発表者:後藤米子OG
- 第5号「創作」 『海辺のテーブル』
キャンバスに油彩F25号
木箱の上に並べられた折り紙の課題を見たとたんに思い浮かんだ イメージ、それは家の窓から見える 相模湾の海と空に、色紙の散らばったテーブルを浮かべての折り紙遊び。子供が折り紙を楽しむ感覚で油絵を描き始めました。
赤い折り紙にポイントを置きたかったので、バーミリオン、チャイニーズバーミリオン、レッドパープルと順に、乾くのを待って塗り重ねていきました。「構図的に水平画面で単調すぎる」とのアドバイスで木の枝を描き込み、奥行きが少し出てきた感じがしました。 描き終わってから、離れてみて何気なく並べられた色紙の間に通り道があり、それが海に通り抜ける風を送っているようだと気づきました。
おもえば、紅い林檎一個の鉛筆デッサンに始まり、骸骨と鏡の中の自分と、デッサン力も技術、知識も乏しくその上性格も粘り強くない私にとっては、四苦八苦の土曜教室でしたが、この色の色面構成のモチーフは心弾む気持ちそのままに描けたようで、私にとって嬉しい一枚の絵となりました。
その後、黄金背景テンペラ画の講座を受講して、石膏の下地作りから金箔貼り、そして彩色と模写にのめ り込み、終わった後なんだか気が抜けたようでキャンバスに向かうことが少なくなってしまいました。 ひとりで描くことは、気楽なようでいてなかなか難儀でもあります。
いつか小さなモチーフをテンペラで表現するひとりの時間を楽しめたらと思っています。