鎌倉の絵画教室で日本画、クロッキー、デッサン、油絵、水彩、混合技法、テンペラ画、素描、黄金背景テンペラ画を学ぶ|早見芸術学園

JR鎌倉駅東口 徒歩1分 神奈川県鎌倉市小町1-2-16

TEL 0800-222-0883

作品一覧

受講生作品

発表者:中野 純
第11号「模写」 『ヴィーナスの誕生』部分

F4号 麻布に卵黄テンペラ
サンドロ・ボッティチェリ(SANDRO BOTTICELLI 1444頃~1510)
フィレンツェウフィツィ美術館

長年の仕事の柵から完全に開放されて、自由な時間を手に入れた私にとって、北鎌倉の早見/十二教室との出会いは、居心地の良い居場所、魅力的な空間を予感させた。
テンペラ技法による模写講座で「手順を踏めば誰でもこの通りに描けます。」という先生の言葉を半信半疑で聞いての挑戦でした。
ボティチェリの「ヴィーナスの誕生」は、20数年前フィレンツェで出会って以来、親しみのある絵でしたので、「この絵の模写は易しい方です。」の言葉に、迷わず選択した。
トレース・墨入れ・下地塗り、溶き油を作る生玉子の黄味に驚き、ダンマール樹脂溶液・防腐剤・酢・顔料、明部・暗部の描き起こし、と何もかも新鮮でした。
溶いた絵の具の微妙な濃度など知る由もなく、凹凸の出来てしまった肌を修正するのには心底絶望しました。
頬の色味を微量に加えただけで酔っ払ってしまったヴィーナスにただただ困惑し、先生がテルベルトを薄く顔全体に入れて下さった時の見事な肌の甦りは強烈な驚きと共に、気持ちが奮い立ち、意欲が湧いたものです。
繊細な模写の難しさを痛感し、目の表情、束ねた髪、もっと慎重に、もっと丁寧にと最後まで自戒を込めて丹念な作業を続け、多くの指導を得て、完成させることが出来ました。
初めて模写を体験して、手順を踏み、仕上げていく時のハラハラ、ドキドキは、大いなる芸術家の美的価値をもった作品を、時代を超えて追体験していく感覚に似て、これまでに経験したことのない喜びでした。
ホタテ貝に乗ったヴィーナスは、海の泡から生まれた証とか、優しい面差しは、観る者の気持ちを穏やかに優しく包み込んでくれる。出来上がった作品を身近に飾り、朝に夕に、無意識に対話している自分に気付く。

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