- 発表者:松平妙子
- 第43号「創作」 「一輪のラン」
麻布・白亜地・テンペラ・油彩
初めての模写がバリュテュスで1枚を長い時間をかけて描きましたが、力量不足のために暗礁に乗り上げてしまいました。特に、上層描きに入ってからも色が出せなくて、どこを描いていいのか混乱していました。そんな折に出された課題は、『花を描く』でした。
粗めの麻布で白亜地キャンバスを作り、デッサンとエスキースを基に墨入れをし、下地にイエローオーカーを平滑になるまで塗り、下層描きに入りました。暗部を描き、明部は混合白(チタニウムホワイトとテンペラメディウムで捏ねたテンペラ白と油絵の具のシルバーホワイトを混ぜたもの)を使い、全体を茶色の絵にしました。ここで先生より「バックはこのまま残し、モチーフの蘭をプリマで、そのものが存在するように描くように」と指示されました。どう描けば良いのか、どうなっていくのか見当も付きませんでしたが、言われるがまま乾くのも待たず、白と緑を塗ったり消したりの繰り返しでした。蘭が浮かび上がるまで同じ場所を何度も....
完成してみると、バックを下層描きのまま残して良かったです。仕上がりの点だけでなく、制作途中で失敗の深みに嵌った時、バックには手をつけなかったため描き進めることが出来たからです。結局、上層に入る前後からが最も難しく感じられたので、これからは技法をきちんと身につけたいと実感しています。
(指導・十二芳明)